2022年11月11日より公開となりました映画「すずめの戸締り」に出演している閉じ師と呼ばれる職業のイケメン男性「宗像草太(むなかたそうた)」
彼が開いてしまった扉を閉じようとするときに唱える呪文(言葉=セリフ)があるのですが「何と言っているんだろう?」と気になった方も多いかと思います。
そこでここでは新海誠監督の新作映画「すずめの戸締り」で閉じ師「草太(そうた)」が唱えている呪文(言葉)について徹底調査してみました。
何と言っているのか?また言葉の意味や元ネタとなる祝詞についても僕の考察を交えながらまとめましたのでご紹介致します。
【数々の謎や疑問についてのまとめ記事】
すずめの戸締りの閉じ師「草太」の呪文(セリフ)全文
新海誠監督の新作映画「すずめの戸締り」に出て来る「閉じ師」と呼ばれる職業の「宗像草太(むなかたそうた)」が唱えている呪文のような言葉(セリフ)の全文はこちらになります。
このように言葉に起こしてみるとなかなか難しい、聞きなれない言葉の数々であります。
最後の「お返し申す」は草太(そうた)が言うときのバージョンで、鈴芽(すずめ)が言うときには「お返しします!」になります。
まさに呪文のような感じで戦隊ものの決め台詞のようでありますね。
映画を見ていた時は「かっこいい!」ちょっと厨二病っぽいなんて思いましたが‥。
こうなってくると言葉の意味はどうなっているの?
という疑問が湧いてくると思います。
では次はこちらの呪文のような言葉の意味についてご紹介しようと思います。
すずめの戸締りの閉じ師「草太」が唱えている呪文(セリフ)の意味
映画「すずめの戸締り」の閉じ師「草太(そうた)」が唱えていた呪文のような言葉(セリフ)の意味についてまとめてみましたのでご覧ください。
ではそれぞれを次のように分けて紹介したいと思います。
では詳しくご紹介していきます。
「草太」が唱えている呪文(セリフ)の意味 ①かけまくもかしこき
「草太(そうた)」が歌うように唱えている呪文のまず最初の「かけまくもかしこき」の部分ですが。
これはよく聞く祝詞の冒頭部分の言葉となります。
「言葉にするだけでも(考えるだけでも)畏れ多いことだが」
という意味になります。
漢字で書くと「掛麻久毛畏幾」となります。
たいていの場合、この言葉のすぐあとに神様や天皇の名が続きます。
つまり、神様や天皇の名を、前置きなくいきなり言ったり書いたりするのは失礼にあたるため
だからその前に、ワンクッションおくという意味で使われております。
「草太」が唱えている呪文(セリフ)の意味 ②日見不の神
続いて「草太(そうた)」が唱える呪文の言葉(セリフ)「日見不の神」の部分ですが。
こちらは前述しましたように「かけまくもかしこき」に続く神様の名前となります。
日見不の神とはモグラの神ということを指しているのですが、何故モグラなのかは後述したいと思います。
「草太」が唱えている呪文(セリフ)の意味 ③遠つ御祖の産土よ
閉じ師である「草太(そうた)」が唱える呪文の言葉(セリフ)「遠つ御祖の産土よ」の部分ですが
これは神様の御心の宿った土地よという意味になります。
つまり閉じ師の生業が「開いた後ろ戸を閉じる=土地神の怒りを鎮める」ということからその対象となるその土地のことを意味しております。
「草太」が唱えている呪文(セリフ)の意味 ④久しく拝領つかまつったこの山河
閉じ師である「草太(そうた)」が唱える呪文の言葉(セリフ)「久しく拝領つかまつったこの山河」の部分ですが
こちらは「長い間使わせていただいているこの山や川(土地)」という意味にとらえられると思われます。
前述しました「遠つ御祖の産土よ」とこちらの「久しく拝領つかまつったこの山河」はワンセットであると考えられます。
「草太」が唱えている呪文(セリフ)の意味 ⑤かしこみかしこみ
閉じ師である「草太(そうた)」が唱える呪文の言葉(セリフ)「かしこみかしこみ」の部分ですが
これについての意味は「対象を恐れ多く思い、慎みとうやまいを持って行う」ということになります。
つまりは冒頭の「かけまくもかしこき」と通ずるものがあります。
神様への畏敬の念を最初と最後に繰り返し伝えることでより丁寧な敬うということを強調する意味合いとなっております。
「草太」が唱えている呪文(セリフ)の意味 ⑥お返し申す
閉じ師「草太(そうた)」が唱える呪文の言葉(セリフ)「お返し申す」の部分ですが
ここはそのまま「返す」という意味になります。
お返し申し上げます=返すという意味の謙譲語ということから神様に対してこの土地の想いをお返ししますのでどうぞ怒りをお鎮めください。
そのような意味につながると思われます。
また、ラストシーンですずめが再び常世に入り草太を助けミミズを封印するときには追加の呪文(祝詞)が詠唱されております。
ここまでをまとめるとこのような意味になるのではないでしょうか。
簡単に言いますと、「口にするのも畏れ多きもぐらの神様よ私たちが生まれ育ち長い間使われてきた山や川のこの土地の想いを常世に返すことを畏れ多くもお受け取り下さい」
という意味になると思われます。
この言葉は祝詞(のりと)と呼ばれる神主が神様を崇拝しお願いをする時の言葉の一種となります。
厄払いや結婚式・家を建てる時の建前や上棟式で聞いたことがあるかもしれません。
基本的には祝詞がベースとなっている「すずめの戸締り」閉じ師草太の文言ですが、ところどころ作品の世界観に合わせたものとして作り上げられております。
これだけではまだ何のことなのかと思いますのでさらに説明を加えようと思います。
なぜもぐらの神なのか
文中に出て来るもぐらの神ということなのですが、これは鎮める対象がミミズのようなものであるからではないかと思います。
もぐらがミミズを食べるという事からきていて
もぐらに似た日見不(ひみず)=(土の中に隠れていて日の光を見ることがないという意味のもぐらに似た哺乳類)の神様にお願いをするという事なのだと思われます。
なお、日見不(ひみず)は実在する動物であり、日本の固有種であります。
ではその日見不(ひみず)の神に何をお願いするというのでしょうか。
それを考える前にミミズのような存在が何なのかという事を考察してみたいと思います。
ミミズの存在は何なのか
作品中に出て来るミミズのような存在ですが、あれは一体なんだと思いますか?
僕はこう考えます。
作中「後ろ戸」と呼ばれるものは必ず廃墟に現れます。
そしてその「後ろ戸」の中からミミズのようなものは現れるのですが、つまりこのミミズのようなものは、かつて栄えていたその土地の神の想いなのではと考えます。
かつてはあんなに栄えていたのに今は打ち捨てられた土地の神様の怨念。
それがミミズのような姿となり、その土地へと復讐しようとしていたのではと考えます。
神様とは人の想いによってその力を増していくとも言われております。
つまり人の信仰心のなくなった土地の土地神は力を失い常世(あの世)へと言ってしまうのだと思われます。
そこで自分たちをないがしろにした人々に復讐をするために災害を起こすのだと僕は考えました。
ミミズは古来より土の神として崇拝されていた
ミミズは古来より農作物の育つ土を良くしてくれることから「土の神(畑の神)」とも言われておりました。
実際にミミズをご神体として祀っている神社も存在します。
長野県長和町和田中組(旧和田村)の旧中山道沿いに「蚯蚓神社(きゅうせんじんじゃ)」という神社があるのですが
こちらのご神体がミミズであります。
その昔、土砂崩れで大ミミズが出現し村で疫病が流行ったため、土砂崩れが起きた山にミミズを奉る神社を作ったのが由来だそうですが。
この神社の解説板にはこのようにも記されております。
土の中に生きる動物の王者「みみず」を「蚯蚓大権現」として祭ってあります。みみずが木の葉などを食べ糞にして「土」ができるため、「土の神様」であります。
蚯蚓神社解説板より引用
これらのことは2016年1月13日放送のテレビ朝日「ナニコレ珍百景」でも紹介されておりましたのでご存じの方もいらっしゃるかと思います。
このように実際に存在している神様をうまく組み合わせたいわばすずめの戸締りとは「モグラ対ミミズ」の大戦争という見方もできるのかもしれませんね。
新海誠監督は長野県の八ヶ岳連峰の東にあたる佐久地域の出身であります。
このことからも長野県に祀られていたミミズの神様のことはもともと知っていてこのことがすずめの戸締りの設定に活かされたのではないでしょうか。
では次にどのようにしてミミズの神様を鎮めるのか?
その方法と何をお願いするかについて考察してみようと思います。
ミミズを鎮める方法とお願いすることについて
作中描かれていたのはミミズを封じる方法は後ろ戸を閉める事でした。
そして閉める前に必ずやることがその土地の人々の想いを聞くことでした。
これは何故必要な事なのかというと、先ほども言いました通り、ミミズという存在はかつて栄えていたその土地の土地神で今は誰からも忘れられた力を失った者であるという考察をしました。
つまり自分をないがしろにした人間に復讐をしようとしている土地神を鎮めるために、かつてその土地が栄えていた時の記憶を土地神に思い出してもらうということなのではないのかと僕は思います。
再びその存在を認識され敬われることでミミズ(土地神の復讐心)が静まりるのではないのかと。
そして日見不(ひみず)の神様の力を借りてより強くお願いすることで、扉は閉まるのだと僕は考えます。
以上の事から閉じ師の草太の唱える祝詞の言葉(セリフ)を考えるとこのような感じの意味となるのではないでしょうか
という解釈がしっくりくると僕は考えますがいかがでしょうか?
つまりお願いしている対象は存在しているミミズというよりもそれを鎮めるための日見不(もぐら)の神ということになるのではないでしょうか。
では、すずめの戸締りで唱えられている呪文(祝詞)の元ネタはあるのか?
次はそのことについて調査してみました。
すずめの戸締りの閉じ師「草太」が唱えている呪文(セリフ)の元ネタ
すずめの戸締りの閉じ師「草太」が唱えている呪文(セリフ)の元ネタについて調査してみました。
ここまで紹介したように草太(そうた)呪文のような言葉(セリフ)は祝詞が元ネタとなっております。
祝詞の発祥の地がどこだかご存じでしょうか?
実は祝詞の発祥の地は宮崎県宮崎市にある江田神社であると言われております。
10世紀の初期に記された『延喜式』にもその名を見る古社で、イザナギノミコトとイザナミノミコトの2柱を祀っています。近年は、ヒーリングスポットとして多くの参拝客が訪れています。
神々の縁の地ホームページより引用
この地は、全国の神社であげられる「祝詞」の冒頭にその名が出てくる場所。イザナミノミコトを追って黄泉の国へ行ったイザナギノミコトが、祝詞を唱えながら清らかな水で体を洗い、黄泉の国の穢れを払ったことから、この地が「禊ぎ発祥の地」「祝詞発祥の地」といわれています。
すずめの戸締りの始まりの地も宮崎県ですし、ここはやはりこのあたりのことも意識して宮崎県という舞台が選ばれたのではないかと推測いたします。
閉じ師の草太(そうた)が唱える呪文のような言葉についてまとめ
ここまで映画【すずめの戸締り】閉じ師の草太(そうた)が唱える呪文のような言葉はなんと言っているのか?またその意味について僕の考察も交えてご紹介してきました。
まとめますとこのようになります。
このようにすべての言葉にちゃんと意味があってそして密接に関わりのあったすずめの戸締りの閉じ師の草太(そうた)が唱えていた呪文。
考察も交えておりますが、概ねこのような感じになると推測いたします。
またこれ以外にも「すずめの戸締り」の映画を見て皆さんが疑問に思う点があったかもしれません。
これだけ長く難解な祝詞のような呪文を覚えたり、土地の想いを汲んだりと閉じ師という仕事は本当に誰でもできるものではなさそうですが、いとも簡単にやってのけたすずめ。
誰にでもできるわけではなさそうですが、すずめはどうして簡単にできたのでしょうね?
そのあたりについてはこちらの記事で考察してみましたのでご参考下さい。
僕が疑問に思い調べたことに関しましては下記の記事にまとめておりますので、もし同じように疑問に思っていたことがありましたらご参考下さい。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
コメント
産土(うぶつち)ではなく産土(うぶづな)では?
ご指摘ありがとうございます。
どうやら産土(うぶすな)が正解のようでした。
大変ご迷惑をおかけしました。
修正致します。